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ベトナムで輸入肉が急増、2026年上期だけで15億USD 国内価格低迷でも輸入が拡大する理由

ベトナムのスーパーマーケットで販売される鶏肉
(C)THANH NIEN

ベトナムで肉類・肉製品の輸入が急増している。2026年上半期の輸入額は約15億USDに達し、前年同期比で36.4%増加した。

2025年通年の輸入額が19億5,000万USDだったことを考えると、わずか半年で年間輸入額の約8割に達した計算である。特に鶏肉の輸入が目立つほか、豚肉についても国内価格が低迷するなかで輸入量が増加している。

背景には、国内の食品加工産業による原材料需要に加え、輸入肉の価格競争力がある。一方で、輸入後の流通経路を含めたトレーサビリティーの確立が課題となっている。

2025年の肉類輸入は19億5,000万USD

ベトナム税関当局の統計によると、2025年にベトナムが輸入した肉類は総額19億5,000万USDとなり、前年から11.6%増加した。

品目別では、水牛肉が全体の31%超と最大の割合を占め、豚肉が約22%、鶏肉が18%、牛肉が約13.7%、副産物が12.8%となった。

輸入元ではインドが最大で、肉類・肉製品全体の約19%を占めた。輸入量は16万8,000トン超、金額は約6億200万USDに達している。

これに続くのがロシア、ブラジル、米国、オーストラリアである。

2026年上期だけで輸入額15億USD

ところが2026年に入ると、輸入の伸びがさらに加速した。

2026年1~6月の肉類・肉製品の輸入量は49万4,000トン、輸入額は約15億USDとなった。前年同期と比べ、数量は約10%、金額は36.4%増加している。

特に目立つのが鶏肉である。

鶏肉および鶏肉副産物の輸入量は18万6,400トンに達し、輸入量では水牛肉や豚肉を抜いて最大となった。

そのうち冷凍鶏もも肉が約13万トンと7割以上を占め、冷凍鶏手羽、鶏足、副産物などが続く。一方、丸鶏の輸入量は比較的少ない。

輸入元では米国が6万3,300トン、約7,500万USDで最大となった。前年同期比で数量は12%、金額は14%増加している。

注目されるのがトルコで、輸入量は2万9,600トン、金額は約1,900万USDとなり、前年同期から数量で261%、金額で216%増加した。

以下、韓国が約2万7,000トン、ポーランドが2万トンと続いている。

国内の鶏肉価格が低いのに、なぜ輸入が増えるのか

今回の輸入増加で特徴的なのは、国内の鶏肉や鶏卵の価格が低迷しているにもかかわらず、輸入が大幅に増えていることである。

業界関係者によると、その背景の一つに2025年のベトナム・カンボジア間の非公式な国境貿易の活発化がある。

2025年には国内価格も比較的良好だったことから、2026年の市場環境を楽観視した輸入業者が、価格条件の良い段階で契約を結んだことが輸入増加の一因になったという。

しかし、2026年に入るとカンボジアが輸入規制を強化し、ベトナム企業にも影響が出ている。

つまり、現在の輸入増加には、国内需要だけではなく、前年の市場環境を踏まえて事前に確保された輸入契約など、需給見通しの変化も影響しているとみられる。

豚肉も輸入増、平均価格は18.5%下落

鶏肉に続いて輸入量が多いのが水牛肉と豚肉である。

2026年上半期の水牛肉輸入量は10万8,000トン、豚肉は約8万トンとなった。

特に2026年第2四半期の豚肉輸入量は4万2,600トン、金額は約9,300万USD。前年同期比で数量は23%増加した。

主な輸入元はスペイン、ブラジル、ロシアである。

一方、ベトナム国内では豚の生体価格が下落を続けている。それでも輸入が増加している最大の理由として、輸入豚肉の価格の安さが指摘されている。

2026年上半期の輸入豚肉の平均価格は1トン当たり2,152ドルで、前年同期から18.5%下落した。

「輸入肉が安い」ことが国内価格にも影響

ホーチミン市内では、冷凍豚足や鶏もも肉などが1kg当たり4万~4万5,000VND程度、鶏手羽や牛肉団子などが6万5,000~7万5,000VND程度で販売されている。

豚肉や豚スペアリブは9万~9万5,000VND程度で、副産物などではさらに安い商品もあるという。

輸入肉の流入量が増えれば、国内産肉にも価格面で圧力がかかる。

ドンナイ省畜産協会のグエン・チー・コン会長によると、祝祭日の大型連休を目前にしても、同省の豚の生体価格は回復の兆しを見せておらず、1kg当たり5万6,000VND程度で推移している。

輸入肉のすべてが消費者向けではない

ただし、輸入肉の増加をそのまま「輸入肉が国内市場を圧迫している」と見ることには注意が必要である。

食品業界関係者によると、冷凍肉のすべてが市場や小売店で生鮮肉として消費者に販売されているわけではない。

重要な用途の一つが、食品加工産業の原材料である。

ソーセージ、ハム、加工肉、缶詰、冷凍食品、ファストフード、給食、レストランなど、ベトナムでは大量の肉を原材料として使用する産業が存在する。

食品工場にとって重要なのは、単純に肉が安いことだけではない。

必要な種類や規格、赤身と脂身の比率、品質の均一性、食品安全基準、原産地の追跡可能性、必要量を安定的に供給できるかどうかなどが重要になる。

国内供給だけでは加工業の需要を満たせない部分も

一方、ベトナム国内の食肉サプライチェーンには、加工産業の需要を十分に満たせていない部分もある。

大量供給、カット規格の統一、品質の均一性、冷凍能力、冷蔵・冷凍倉庫、安定的な大口供給などで課題が残っているためである。

そのため、一部の分野では輸入冷凍肉が、国内サプライチェーンでは不足する原材料を補う役割を果たしている。

合法的に輸入され、適切な施設で生産され、検疫や食品安全管理を通過し、適切な温度で保管されている商品であれば、食品加工産業にとって重要な原材料となる。

また、輸入肉を利用することで、企業は在庫計画を立てやすくなり、原材料の規格や製品品質を標準化し、日々の国内供給量の変動への依存を減らせるという利点もある。

課題は「輸入後」のトレーサビリティー

一方で、輸入量の増加に伴い、食品安全管理のあり方も問われている。

専門家は、国境での検査や高い食品安全基準、企業の仕入れ・販売時のインボイス管理だけでは十分ではないと指摘する。

重要なのは、輸入された肉が通関後にどこへ流れ、最終的にどの商品に使用されたのかを追跡できる仕組みである。

理想的には、輸入ロット → 輸入業者 → 冷蔵・冷凍倉庫 → 卸売・流通業者 → 食品加工工場・飲食店・販売店 → 最終製

という一連の流れをデータでつなぐ必要がある。

輸入ロット番号、生産日、賞味期限などを記録し、食品事故が発生した場合には、最終製品から使用された原材料まで遡れる「トレースバック」と、同じロットの商品がどこへ流通したのかを確認する「トレースフォワード」の双方を可能にすることが求められている。

輸入拡大を「国内畜産の弱体化」だけで捉えない視点も

ベトナムの肉類輸入が急増している背景には、安価な輸入肉による価格競争だけでなく、食品加工産業の成長や、国内サプライチェーンが十分に対応できていない原材料需要も存在する。

今後の課題は、輸入を単純に抑制することではなく、国内畜産の競争力を高めながら、輸入原材料についても安全性とトレーサビリティーを確保することにある。

食品加工産業が成長を続けるベトナムにとって、国内産と輸入品を含めた安定的な原材料サプライチェーンをどう構築するかが、今後ますます重要になりそうだ。

※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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