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ベトナムビジネス情報Vol.171
みんな大好き、バインミーの祭典!
Second Banh mi festival

ホーチミン市1区のレバンタム公園で5月17~19日、第2回となる「バインミーフェスティバル」が開催された。131のブースが出店、150種類のバインミーが作られ、来場者は10万人とのこと。バインミー祭りが始まった!

前回より出店が25%増加

 初日の金曜日、昼前に到着。さほど混んでいないのが有難い。正面入口から入ったすぐ右にはバインミーの調味料として欠かせないチリソース、CHIN-SUの巨大なオブジェが立つ。ブース内では液体洗剤ボトルのような2000mlサイズもあり、買おうとしたら非売品だった。

 ブースというより露店が密集しているのは入口右手から広がるスペースで、蛇行した小道沿いに様々な店が並ぶ。

 第1回は純粋なバインミー店はあまりなく、調味料や素材の販売店、飲料やフルーツの輸入店、串揚げやピザなどの飲食店が多かったが、今年は飲食店がメインで、しかも老舗のバインミー店が主役。第1回の約10万人という来場者に期待してか、約25%増えて85社、131ブースが出店した。

バインミー150種が記録達成!

 公園のステージ前に置かれたのは、長さ約6メートルの巨大なバインミー(パン)のオブジェ。その隣のテントでは何十人というコックたちが料理中だった。有名店を中心としたバインミー店のスタッフで、全員が白いコック帽ととコックコートというシェフ姿だ。

 出来合いの具材を挟むのが普通のバインミーだが、彼らは骨付きの鶏肉を時間を掛けて炒めたり、巨大なシュウマイを丁寧に蒸したり、特製ソースを作ったりと、まるでフレンチレストランの厨房だ。

 昼になると料理皿を持ったシェフたちが次々に登場。バインミーオブジェの開いた口(テーブル)に「当店自慢のバインミー」を乗せていく。具材を別に盛り付けてデコレーションしたり、フルーツやクリームを使ったスイーツ風もあり、その数は何と150種類。

 この150種類の具材の加工と提示がベトナム記録となり、この夜にはベトナム記録機構から証明書が授与された。イベントに花を添えるためだろうが、ベトナムでパンを使った料理が記録を打ち立てたのは初めてだそうだ。

 何十人ものシェフが店の料理を調理し、並べていく姿は、バインミーフェスティバルの風物詩になっていくかもしれない。

有名店の女性社長に直撃!

 バインミーオブジェの前という好立地に出店したのが人気バインミー店のHuynh Hoaだ。価格は高めでも様々な具材がたっぷり詰まったバインミーは全国的に有名で、いつも長蛇の列ができる。このフェスでも昼頃には列ができて長くなり、材料の仕入れで少しの間閉店したほどだ。

 Huynh HoaのLe Kim Hoa社長がテレビ局のインタビューを受けており、弊誌も取材を依頼!

「昨年は出店できなかったので、今年はこのお祭りに参加しました。多くのお客様に感謝したくて、バインミーを買うと全員に小さなパテとコーラをプレゼントしています」

 Huynh Hoaのバインミーの一番の美味しさはパテで、自社で工夫を重ねているという。また、スタッフにはトレーニングを施し、バインミーの味と共に丁寧な接客も心掛けている。

「目指しているのは、バインミーが1つでも999個でも味が変わらないこと。同じ風味を保つことです」

 創業者であるHoa社長が35年仕事を続ける中で、思い出に残った出来事がある。ホーチミン市に旅行に来たベトナム人観光客が語った一言だ。

「うまい!Huynh Hoaのバインミーを食べなければ、サイゴンに行ったことにならないね」

 ますます最高品質のバインミーを作ろうと努力したそうだ。現在は遠方の顧客にも届けたいと冷凍バインミーを製造し、ハノイ、ドバイ、韓国、日本に輸出している。

「冷凍でもパンの風味があり、とても美味しかったというお声を多数いただきました。今後もより良い商品とサービスを提供していきます」

バインミーから少し離れるが…

 ちょっと変わったバインミー、若者に人気のBanh Mi Muoi Ot。バインミーのパンを潰して薄くし、チリソースを塗って焼き、その上にパテ、ソーセージ、タマネギなどのトッピングを乗せる。日本で言えばピザトーストか。

 数年前に流行したファストフードで、新しもの好きのベトナム人の話題となり、今でも若い人たちに好まれているそうだ。

 ブンタウ名物のBanh Khotも売られていた。小麦粉を水で溶き、たこ焼き器を大きくしたような鉄鍋で焼き揚げる。具はエビを使用。ビールに合うサイズと味覚だがバインミーとは関係ない?

 ポークソーセージのNem Nuongはいくつかの店に置いてあった。そのまま食べても良し、バインミーに挟んでも良しだが、なぜか近くにCom Lamが置いてある。竹の中に入れたもち米で、色を付けているのでカラフルで可愛いが、これは本当にバインミーには関係ないよな。

アイスを挟んだ新食感?

 アイスクリームショップのMARIUSは通常のカップとコーンのほかに、フェスティバル用にバインミーで挟んだアイスを提供していた。

「昔のスタイルで食べてほしいとアイスクリームをパンに挟みました。懐かしく思ってくれたらうれしいです」

 バインミーというよりホットドッグのパンにアイスクリームを並べ、ソースをかけて、トッピングを散らす。選んだのはストロベリー、抹茶、チョコ、ラムレーズンのアイスにストロベリーソース、ナッツとレーズンのトッピングだ。

 アイスは美味しいのだが、パンにはこだわりを感じず、微妙に残念。

伝統菓子は米とココナッツで

 タピオカでんぷん粉、米粉、すり潰した緑豆、砂糖などで作るBanh Da lonを、ココナッツミルクに入れて食べるのがTikTokから流行っているとか。なるほど、すぐ隣には大量のココナッツミルクが入った大きなボウルが置かれていた。

 ココナッツを素材としたCom Depは甘みがあって美味しく、ライスペーパーで巻いて手軽に食べられる。色鮮やかで見た目も良く、腹持ちがしそうなおやつだ。

 昔から親しまれているBanh Tamは今でも子どもたちの好物だ。もち米とココナッツと砂糖で作られ、ココナッツソースと一緒に食べる。

 こうやって見ていくとベトナムの伝統的なお菓子は、米とココナッツを使ったものが多そうだ。

バインミー・クエをぜひ食べて

 細長いバインミーのバインミー・クエ(Banh Mi Que)を販売していたのはM&O FOODS。フランチャイズでホーチミン市に約2000店舗展開し、シンガポールにも出店しているという。

 ソーセージ、玉ねぎ、ザボン、チキン、なますなど具材が豊富で、表面にバターを塗った細長いパンに挟む。軽く電子レンジで温めることでサクサクした食感が生まれる。

「パンは細いけど長いから、意外にお腹がいっぱいになりますよ」

 味も良いし、確かにお腹が膨れる。1番の特徴は自家製のパテで、レシピ通りに工場で生産している。バインミークエを広く知ってほしいそうだ。

「フェスティバルに出店したのは外国の人に食べてほしいから。どれがいい?」

コンデンスミルクは思い出の味

 正面入口から伸びる道の両側には、ちょっとお洒落なブースが並ぶ。例えばO Plant-based Foodというパン店。「植物を積極的に使って健康にも環境に優しい食事」という意味のPlant-based Foodが社名なだけに、素材にこだわる。

 商品はバゲット、サンドイッチ用パン、SHOKUPAN(食パン)もあり、まろやかな味付けと柔らかな食感。野菜を使って色を付けたユニークなパンもあり、多くの人が試食品に手を伸ばしていた。

 ホーチミン市で複数店舗を持つ人気のABC Bakery、クロワッサンや焼き菓子も美味しいSaint Honoré Saigonといった高級店もあり、人目を引いていたのがブルーのブースのVinamilkだ。

 揃いのユニフォームを着た女子スタッフが、スライスしたバインミーと小さなカップに入ったコンデンスミルクを試食用に配っていた。

「昔は缶や紙パックに入っていましたが、今は使いやすいチューブタイプが売れています」

 ちぎったバゲットをコンデンスミルクに浸して食べるのは、昔から人気の子どものおやつ。多くの人にとっては懐かしい味で、Vinamilkの「Ong Tho」はコンデンスミルクの定番ブランドだ。

第3回が今から楽しみだ!

 昨年の第1回は青年文化センターで開催されたが、今回は広々した公園でベンチもあり、店側も折り畳みイスを用意するなど、座って食べることができた。

 主催側はバインミーフェスティバルを外国人観光客の誘致手段とも考えており、実際に欧米人など外国人が多く訪れた。

 第1回は3月24日の「バインミーの日」に合わせて、それに近い3月30日~4月2日を開催日としたが、今年は事情があって5月の開催となった。このフェスティバルは毎年恒例となるようで、来年の開催がいつになるか、今から楽しみだ。