ベトナム南部で高温・少雨、水資源への影響広がる
ベトナムでは2026年に入り、エルニーニョ現象の影響とみられる高温・少雨が続いている。特に南部では、貯水池の水位低下やメコン川上流からの流入量減少など、水資源をめぐる懸念が強まっている。
国立気象予報センターによると、7月11日から8月10日までの平均気温は、南中部沿岸部、中部高原、南部で平年を1.1~1.2℃上回った。
南部では一部の観測地点で、同時期として過去最高水準に達する気温も記録された。8月上旬にはカントーで35.5℃、ミトーで35.6℃、カマウで34.6℃を記録した。ドンナイ省ビエンホアでも7月18~25日にかけて、35.5~36℃の高温が続いた。
一方、北部と中部でも39~40℃に達する猛暑が発生しており、降水量は地域によって平年を20~80%下回った。
東南部では雨期にもかかわらず水不足
高温と少雨の影響は、すでに生活用水にも及んでいる。
ドンナイ省では7月27日、ザータン給水会社が一時的な給水停止と輪番給水を実施した。チーアン湖の水位が低下し、水位標高が約51メートルまで下がったためである。
同社は、生活用水を安定的に確保するため、湖の水位を52メートル以上に維持するよう関係機関に要請した。
その後、問題は解消されたものの、雨期であるにもかかわらず水源の確保が問題となったことは、南部の水資源をめぐる状況の厳しさを示している。
さらに、東南アジア最大級の灌漑施設であるダウティエン湖でも水位が大きく低下している。
南部灌漑計画研究所(SIWRP)によると、2026年の同流域では雨期に入ってからの降水量が前年より少なく、時期も遅れている。
7月30日時点の累積降水量は約757ミリで、2025年同期を約66ミリ、率にして約8%下回った。7月31日の湖水位は19.67メートルで、洪水期前に必要とされる水位21.2メートルを1.53メートル下回っていた。
ダウティエン湖は、生活用水、工業用水、農業用水に加え、洪水対策や環境改善、サイゴン川・バムコドン川下流域の塩水侵入防止など、多目的に利用される重要な水資源である。
メコンデルタでは「洪水不足」が懸念
より深刻な影響が懸念されているのがメコンデルタである。
メコン川上流からの水量が平年より少なく、流入時期も遅れているため、今年のメコンデルタでは「洪水の少ない年」になる可能性が指摘されている。
7月30日時点で、カンボジアのクラティエ観測所における水位は14.87メートルで、平年同期を1.63メートル下回った。
メコン川のベトナム側上流部に位置するタンチャウ、チャウドックでも、水位は平年を大きく下回っている。
メコンデルタの生態学者グエン・フー・ティエン氏は、今年のメコンデルタについて「洪水に飢える」可能性があると指摘する。
洪水が少なければ、農業用水への影響だけでなく、乾燥や乾期の塩水侵入が深刻化する可能性がある。
また、自然の水産資源への影響も大きい。洪水によって水域が広がる時期が短くなれば、魚類が生息・産卵できる場所も減少するため、天然水産資源の減少が2~3年にわたって続く可能性もあるという。
NOAA「非常に強いエルニーニョ」に発展する可能性
さらに懸念されるのが、今後のエルニーニョの強まりである。
米国海洋大気庁(NOAA)の8月10日発表の最新情報によると、太平洋赤道域のニーニョ3.4海域では海面水温が平年を1.8℃上回っている。
一般に1.5~2℃の上昇は「強いエルニーニョ」に分類される水準である。
周辺海域でも、ニーニョ3で2.4℃、ニーニョ1+2では3.3℃、それぞれ平年を上回った。
NOAAは、エルニーニョが2026年末にかけてさらに強まり、非常に強いエルニーニョへ発展する可能性があると分析し、その確率は97%に達するとしている。
海面だけでなく、海中にもエルニーニョの強まりを示す兆候が確認されている。赤道太平洋の水深0~300メートルの海水に蓄積された熱量が平年を上回っており、強いエルニーニョに特徴的な状態が形成されている。
水不足と塩害、乾期に向けて警戒
ベトナムの国立気象予報センターは、8月11日から9月10日までのベトナムの降雨について、地域によって大きく異なると予測している。
北部、タインホア~フエ、中部高原では平年を上回る降雨が見込まれる一方、それ以外の地域では平年を10~30%下回る可能性がある。
ダウティエン湖についても、8月の流入量は約2億4,900万立方メートルと、平年の約2億7,450万立方メートルを下回る見通しである。
専門家は、現在のエルニーニョの傾向が続けば、雨期終盤に降雨量が急速に減少する一方、高温が続き、土壌や河川、貯水施設に蓄えられる水量も減少する可能性があると警告する。
乾期に入れば生活・農業用水の需要が増加するため、水資源をめぐる圧力はさらに高まるとみられる。
特にメコンデルタの塩水侵入は、デルタ地域の降雨量だけで決まるものではない。上流からの河川流量、潮汐など複数の要因が関係するため、エルニーニョだけですべての干ばつ・塩害を説明することはできない。
そのため専門家は、農業についても「塩害が発生してから対応する」のではなく、季節ごとのリスクを事前に管理する考え方へ転換する必要があると指摘している。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
ベトナム進出支援LAI VIEN



















