ベトナムで電気自動車(EV)への転換が急速に進んでいる。2022~2025年にかけて、自動車・二輪車市場では大規模な電動化の波が起きており、特に近年は普及ペースが大幅に加速している。
政府統計によれば、電気自動車の保有台数はわずか8か月でほぼ倍増したほか、電動バイクも累計300万台を突破した。ベトナムは世界有数の電動二輪市場へと成長しつつある。
電気自動車は37万台超、8か月でほぼ倍増
ベトナム建設省が公表したデータによると、2026年5月末時点の電気自動車保有台数は37万4,816台となった。
このうち乗用車は36万9,849台で全体の98.7%を占めており、残りは電動トラックや電動バスである。
2025年7月時点では国内のEV保有台数は約18万4,000台だったことから、約8か月で市場規模はほぼ2倍に拡大した計算となる。
一方、ガソリン車・ディーゼル車の販売台数は2022~2025年にかけて12%減少し、48万6,217台から42万8,943台へ縮小した。
これに対し、純電気自動車(BEV)の販売は628%増加し、2025年には新車市場の約30%を占めるまでに成長した。
電動バイクは300万台突破、世界3位市場へ
ベトナムの電動化は四輪車だけではない。
業界レポートによると、国内の電動二輪登録台数は2016年の50万台から2024年には265万台へ増加し、2025年には累計300万台を超えた。
今年最初の5か月間でベトナムは世界第3位の電動バイク市場へと浮上し、販売成長率でも世界有数の水準に達しているという。
300万台を超える電動バイクの普及は、新たな消費者層を生み出している。
静かな走行性能や日常的な充電習慣、環境配慮への意識が浸透し、電動車両はもはや一部の先進的ユーザー向け製品ではなく、一般消費者に広く受け入れられる存在になりつつある。
充電インフラ整備が普及を後押し
専門家は、ベトナムでEVが急速に拡大した背景として、充電インフラ整備が進んだことを挙げる。
特にベトナムEV最大手のビンファスト(VinFast)は、全国規模の充電ネットワークを構築している。
報道によれば、同社は全国で15万基規模の充電ポート整備を進めており、都市部の住宅地や商業施設、高速道路沿線などへ配置を拡大している。
さらに99か所の急速充電拠点と400以上のサービス工場を展開し、利用者が抱える「航続距離への不安」を大幅に軽減している。
こうした環境整備により、消費者は技術への好奇心だけではなく、実用性や利便性を理由にEVを選択するようになっている。
環境意識と経済性が普及の原動力
専門家によれば、EV人気を支えている要因は環境負荷低減への意識だけではない。
ベトナムの若年層や中間所得層では、環境保護を購買判断の重要な要素として捉える傾向が強まっている。
一方で、利用者が最も実感しているメリットは経済性である。
ハノイ市在住のEVユーザーは、ガソリン車を利用していた頃は月間300万~400万VNDの燃料費がかかっていたが、EVでは電気代がその約3分の1に抑えられたと話す。
また、排気ガスがなく静粛性に優れ、先進運転支援機能を搭載する車種が多いことも魅力となっている。
配車サービスの運転手からも、「燃料コスト削減に加え、エンジンオイル交換などの整備費用が不要なため維持費を大きく抑えられる」と評価する声が出ている。
EVはベトナムの主流消費市場へ
専門家は、現在の普及状況からみて、EVはすでにベトナム市場における主流の消費トレンドになったと分析する。
電動バイクの大規模普及によって消費者のEVへの心理的障壁は低下しており、今後は四輪EVの導入もさらに進む可能性が高い。
政府による脱炭素政策とインフラ整備が進めば、ベトナムは近い将来、世界でも有数のEV普及国になる可能性を秘めている。



















