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製造業の集積地を巡る大型展示会|VIMF 2026 in Binh Duong|ベトナムビジネス情報 Vol.196

「Vietnam Industrial & Manufacturing Fair(VIMF) 2026」会場の入口

製造業向け大型展示会「Vietnam Industrial & Manufacturing Fair(VIMF) 2026」が6月17~19日、ビンズン区のWTC Binh Duong New Cityで開催された。同時開催のVIAF 2026と合わせて25ヶ国・地域から700社以上、900以上のブースを出展した。

製造業向け大型展示会「Vietnam Industrial & Manufacturing Fair(VIMF) 2026」会場内の様子

 VIMFはベトナム各地の工業都市を巡回する製造業展示会で、2026年はハイフォン(4月)、ホーチミン市ビンズン区(6月)が終了して、バクニン省(11月)へと続く。ホーチミン市やハノイ中心部の展示会と異なり、工業団地に近い立地での開催が大きな特徴だ。

 南部最大級の工業集積地であるビンズン区も同様だ。この会場はBホールから始まり、Cホール、Aホール、Dホールへと順路が続く構成で、来場者は自然と各ブースの前を通過しながら出口へと進む。

 出展企業の多くが評価していたのはこの「動線の良さ」、そして「来場者の質」だ。ビンズン区(以前は省)でのVIMFに開始当初から参加を続けている、イコールベトナムに話を聞いた。

製造業向け大型展示会「Vietnam Industrial & Manufacturing Fair(VIMF) 2026」会場内の様子

 素材を問わない精密切削加工を主事業とするイコールベトナム。同社によれば初期のVIMFの出展規模は現在の半分程度だったが、年々増加して、現在では前年に予約しないとブースが取れないほどだという。

「VIMFはビジネスチャンスとして大きく、続けることが重要だと思います」

 単発の出展で終わるのではなく、毎年参加することで認知度が高まり、受注や新規取引につながっていくという。

 その背景にあるのが来場者の業種で、会場には工場のユニフォームを着たエンジニアらしき集団や、生産管理者らしいシャツ姿などが多く見られた。立地から製造現場との距離が近く、実質的な商談につながるケースも少なくないそうだ。

VIMF展示会に毎回出店しているイコールベトナムの展示ブース

 産業用ロボット大手のファナックベトナムは、展示の目玉として「フィジカルAI」をテーマにしたロボットシステムを展示した。デモ機の周辺には人だかりが絶えなかった。

 オープンソースコードを活用し、人間が音声で「黄色いサイコロを振って、出た目の位置に青いサイコロを置いて」などと指示すると、AIがリアルタイムでPythonでコードを生成してロボットを動作させる。従来の固定的なプログラムではなく、AIが状況を認識して柔軟に対応できる点が画期的だ。

「専門知識がなくても高度な自動化システムを構築しやすくなります」

 また、ロボドリル(小型切削加工機)の最新機種も展示。工具保持数が最大28本に増え、さらに大きな加工エリアを持つ新サイズも開発予定とのこと。EVシフトに伴うアルミやマグネシウム加工の需要拡大、携帯電話部品の大量加工など、ベトナム市場での需要は旺盛だという。

ファナックベトナムが展示したフィジカルAIロボット

 脚立や高所作業機器を製造販売するハセガワベトナムは、昨年に続いての出展。同社がアピールするのは手すり付きの作業台や高機能脚立だ。

 一般的な脚立は中国製の安価な製品が大量に流通しており、価格競争では勝負にならない。そのため同社は安全性を重視した高付加価値市場を狙う。

「ベトナムでも労働安全衛生への意識が少しずつ高まっています」

 大手工場では安全対策が強化されており、従来型の脚立から手すり付き製品への切替えが始まっているという。同社も日越の大手メーカーとの接点が生まれており、今後のリプレイス需要に期待を寄せる。

 大部分の製品は輸出向けだったが、近年はベトナム国内販売を本格化し、営業担当も拡充させている。

ハセガワベトナムが展示した手すり付きの作業台や高機能脚立

 精密測定機器大手のミツトヨベトナムは、毎年VIMFに参加する常連だ。今回は放電加工機のソディックと工作機械などを扱う山善と合同ブースを展開し、加工から測定まで一気通貫で提案できる体制で訴求した。ハノイでも同様の取組みをしており、合同展示は2回目だ。

「投資をするならまず加工機を購入し、次に測定器と考えるお客様が多い。加工機だけでなく測定も重要と知ってほしいです」

 ベトナムでも人手不足から自動化や省人化が進む。近年増加する台湾系や中国系メーカーも品質向上を重視しており、測定機器への投資意欲は着実に高まっていると見る。

VIMF展示会でミツトヨベトナムが展示した測定器

 安全靴や作業靴で知られるミドリ安全は、ベトナムで販売事業を始めて約3年。市場開拓の段階だが、日系企業を中心に認知度は高まりつつある。

 ローカル商品と比べて3割ほど高いものの、「履いていただいて納得した上でのランニングコストを見れば、むしろ安くなる」と語る。

 スポーティーなデザインも特徴で、かつての無骨な安全靴のイメージとは異なる。中国系や韓国系企業が多い北部では苦戦しているが、自らを「スタートアップ」と呼び、展示会で接点を持った顧客との商談につなげている。

VIMF展示会でミドリ安全が展示した安全靴

 会場では石川県と大阪府がパビリオンを作っていた。石川県鉄工機電協会の共同ブースでは4社が出展した。

 FA制御盤等を設計製作するアイデンはベトナムに生産工場を持つ。その強みを生かしてこれまでの日本向けから現地企業向けを増やし、「ベトナム独自の顧客を獲得したい」と語った。

FA制御盤等を設計製作するアイデンの展示ブース

 タイ法人を通じて出展したのは産業用チェーンメーカーの江沼チヱン製作所。食品向けステンレスチェーンや、通常品の3~5倍の寿命を持つシールチェーンが強みだ。

「ベトナムでの実績は増えていますが、中国のコピー商品もあってコスト競争は厳しいです」

江沼チヱン製作所が展示した産業用チェーン

 電子制御機器などを手掛ける東亜電機工業はベトナムに工場を持ち、生産の9割を担う。日本向け輸出が主体だが、ベトナム国内や海外顧客への直接供給も増えている。

「機械展示が中心のVIMFでは電気部品への関心は限られる」としながらも、ベトナム市場への足掛かりを探る。

東亜電機工業の出展ブース

 大阪産業局の共同ブースには4社が出展した。搬送機器用ボールベアリングや工業用機械刃物などのメーカーの中で、異彩を放っていたのがAMT。精密鋳造から機械加工、木材加工、樹脂加工まで対応する「ものづくり屋」だ。ブースでは高級外国車や医療機器用など特殊形状の精密部品が並べられた。

「お客さんの要望に応じて一品物の製作もしています」

 展示の目玉は独自開発の急速冷凍機。マイナス50度の液体に食品を浸けることで鮮度を保ったまま輸送が可能になる技術で、魚介類などへの応用が期待されている。ベトナムでの実績は20年以上に及び、ホーチミン市に工場を持つ。

大阪産業局の共同ブースの展示品

 製造業向け図面管理システム「ズメーン」を提供するFact Baseは昨年に続いて出展。設計図面や関連資料をクラウド上で一元管理するサービスで、東南アジアを中心に世界12ヶ国に展開中。ベトナムではハノイ、ホーチミン市、ダナンで導入が進んでいる。

「アウトバウンド営業が中心の自分たちにとって、展示会はお客様から来ていただける貴重な機会です」

 特徴は開発スピードの速さだ。顧客の要望を反映しながら毎週のように機能をアップデートしており、近年はAI機能も積極的に取り込む。ブースのデザインがスタイリッシュで、新しい製造現場のDX化として注目を集めていた。

製造業向け図面管理システム「ズメーン」を提供するFact Baseの展示ブース

 建設現場で使われる足場のレンタル事業を展開する杉孝ベトナム。初出展となった今回は招待客も来場し、手応えを実感していた。

 展示ブースには足場に加えて、3DスキャナやセキュリティカメラなどのDXソリューションも展示。「どうやって使うのか」などの質問が相次いだという。

「新しいソリューションの紹介がきっかけとなり、メイン商材である足場の商談にもつながります」

 新商品を紹介できて、来場者の目を引ける展示会では、幅広い提案も可能になると語る。

建設現場で使われる足場のレンタル事業を展開する杉孝ベトナムの展示ブース

 スポット溶接の電極チップのメンテナンスツールをアピールしていたのは、初出展となる専門商社のジェイエムティ。自動車産業を中心とした製造業向けに専門工具や関連機器を販売しており、ベトナムでも取引実績を持つ。

 「ベトナムでの販路を十分に広げられていない」と課題を率直に認めつつ、自動車以外の分野への展開も視野に入れている。

 専門性の高い商材だけに、工場関係者が集まるVIMFとの相性は良さそうだ。

スポット溶接の電極チップのメンテナンスツールを展示するジェイエムティのブース

 安全対策、自動化、品質管理、高付加価値、DX……話を聞いた企業は業種も規模も様々だったが、共通していたのはベトナム市場への期待である。

 そのため、展示されていた製品やサービスからは、ベトナム製造業が次の段階へ進もうとしている姿が見えた。単なる製品展示の場に終わらない、製造業の課題と未来が交差する舞台が、今の展示会に求められている。

執筆者紹介

取材・執筆:高橋正志ACCESS編集長)
ベトナム在住11年。日本とベトナムで約25年の編集者とライターの経験を持つ。
専門はビジネス全般。

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