ホーチミン市が推進する「多極型メガシティー」構想の実現に向け、周辺地域との広域交通インフラ整備が急ピッチで進められている。
衛星都市の形成が進むなか、ホーチミン市と周辺地域を結ぶ交通需要は急速に拡大しており、ホーチミン市当局はドンナイ市や旧ビンズン省地域、メコンデルタ地域との接続強化を重要課題として位置付けている。
ドンナイ市方面への接続を強化
ミートゥアン・プロジェクト管理委員会はこのほど、ホーチミン市環状3号線の一部である「タンバン~ニョンチャック区間(第1A工区)」の調整後実現可能性調査報告書を建設省へ提出した。
計画では、ニョンチャック第2橋を追加建設し、橋幅を19.75メートル拡張するほか、路線全体を6~8車線の高速道路へ拡幅する。さらにITS(高度道路交通システム)やETC(自動料金収受システム)、車両重量検査施設なども整備する方針である。
関係当局は、2026年末から2027年初頭の着工を目指し、2028年までに全線の完成を図る考えだ。
ロンタイン国際空港開港を見据えた先行投資
専門家らは、環状3号線の開通に加え、将来的にロンタイン国際空港が本格稼働すれば、この区間の交通量が急増すると予測している。
橋梁規模が不十分なままであれば、新たなボトルネックとなり、高速道路全体の機能低下を招く恐れがある。そのため、早期の拡張整備が物流ネットワークの円滑化や、ロンタイン空港とカイメップ・チーバイ深水港群を結ぶ物流回廊の強化につながると期待されている。
ドンナイ川に新たな3橋を建設へ
ホーチミン市とドンナイ市は、ドンナイ川をまたぐ大型橋梁3本の整備でも合意している。
カットライ橋
2026年1月15日に起工式が行われたカットライ橋は、旧トゥードゥック市とニョンチャック地区を直接結ぶ。
長年にわたり混雑が続いてきたカットライ渡船の代替ルートとなるほか、ロンタイン空港や工業団地、港湾施設との連携強化が期待される。
フーミー第2橋
フーミー第2橋は8車線規模で計画されており、ホーチミン市南部とニョンチャック地区を結ぶ。
総投資額は約9兆VND。2026年第2四半期の着工を目指して準備が進められている。
2029年に完成すれば、タンソンニャット国際空港とロンタイン国際空港を結ぶ交通回廊が形成され、現在のフーミー橋や国道1号線、ホーチミン市~ロンタイン~ザウザイ高速道路の混雑緩和につながる見通しだ。
ドンナイ第2橋
旧トゥードゥック市とビエンホア市を結ぶドンナイ第2橋も優先整備案件として位置付けられており、今後5年間で投資準備作業を進める方針である。
完成すれば移動時間短縮だけでなく、投資誘致や経済交流の活性化にも寄与すると期待されている。
「職住分離」を支える交通網へ
ホーチミン市は、これらの交通プロジェクトによって人口分散と産業移転を後押しする狙いも持つ。
道路網の整備により、住民がホーチミン市中心部へ通勤しながら、ドンナイ市ニョンチャック地区などの衛星都市に居住する生活スタイルが現実的になるとみられている。
またドンナイ市は、生産・物流拠点としてホーチミン市を支える後背地としての役割を強める見通しである。
ビンズン方面や西部地域への接続も拡大
東部方面だけでなく、旧ビンズン省やタイニン省、メコンデルタ方面への交通整備も進んでいる。
国道13号線を大規模拡幅
ビンズン方面の主要幹線である国道13号線では、ビンチウ交差点からビンフック交差点までの区間を拡幅する計画が進行中だ。
総投資額は21兆VND超。道路幅を最大60メートルまで拡張し、延長3キロ以上の高架道路も建設する計画で、2027年初頭の着工が見込まれている。
メコンデルタ方面高速道路も拡張
ベトナム高速道路開発投資総公社(VEC)は、ホーチミン市~チュンルーン~ミートゥアン高速道路の拡張工事を進めており、2028年半ばまでの全面開通を目指している。
また南部では、旧7区・ニャーベー地区からタイニン省のカンジュオック方面を結ぶレー・バン・ルオン道路の大規模拡張計画も進行中である。
環状3号線・4号線が最終段階へ
ホーチミン市広域交通網の中核となる環状3号線と環状4号線も重要な局面を迎えている。
全長76キロ超の環状3号線は、一部遅れを取り戻しながら2026年中の全線開通を目指している。
一方、総延長207キロ超、総投資額10兆VND超となる環状4号線についても、用地取得作業が進められており、9月2日の国慶節に合わせた一斉着工が計画されている。
ホーチミン市長「地域発展の戦略的テコ」
ホーチミン市人民委員会のグエン・バン・ドゥック主席は、交通インフラ整備は都市発展の根幹であると強調した。
ドゥック主席は、広域交通網の整備は単なる交通問題の解決にとどまらず、都市発展の空間的制約を取り払い、経済資源の流れを活性化させる戦略的事業であると指摘。ホーチミン市が南部経済圏の中核都市としての地位をさらに強化するための重要な施策になるとの考えを示した。



















