ホーチミン市で大規模なインフラ整備が加速している。2026年9月2日の国慶節に合わせ、市は道路、鉄道、社会住宅、環境・文化施設など16の重点事業を一斉に着工・完成させる計画で、総投資額は約95億USD(約249兆VND)に上る。
年初から着工している大型事業に続く今回の一連のプロジェクトは、交通渋滞の解消だけでなく、都市開発エリアの拡大や住宅事情の改善にもつながるものだ。ベトナム最大の経済都市であるホーチミン市の都市構造を大きく変える可能性がある。
南西部の玄関口、国道1号線を3倍に拡幅
今回の大型事業の一つが、国道1号線の拡張である。
ホーチミン市人民委員会は、キンズーンブーン通りから旧ロンアン省との境界までの区間について、国道1号線の改良・拡張事業を正式に承認した。
現在20~25メートル程度の道路幅を60メートルまで拡張し、10~12車線を整備する。投資額は約6兆6,700億VNDで、主要交差点には立体交差や地下道も設ける計画である。
南西部からホーチミン市中心部へ流入する交通量の増加によって慢性的な渋滞が発生している地域だけに、交通環境の改善が期待されている。
同事業は9月2日の国慶節に合わせて着工する予定で、市がBOT方式で進める4つの主要な玄関口整備事業の一つとなる。
国道13号線も10車線へ
北東部の主要幹線道路である国道13号線の拡張も進む。
ビンチエウ橋から旧ビンズオン省との境界まで約6キロの区間を対象に、総額6兆2,700億VND超を投じる。
現在約20メートルの道路幅を60メートルに拡張し、10車線を整備するほか、中央部には全長3.2キロの高架道路を建設する。主要交差点には地下道も整備する計画である。
国道13号線の拡張は、ホーチミン市と東南部・中部高原を結ぶ物流ルートの改善にもつながる。
これまで長年にわたって交通のボトルネックとなっていた北東部の玄関口を解消し、ビンズン側ですでに拡張された国道13号線とも接続することで、地域間の物流や人の移動を円滑にする狙いである。
環状4号線の整備も本格化
今回のインフラ整備では、ホーチミン市周辺の広域交通網を形成する環状4号線関連事業も始動する。
トックティエン~チャウファ交差点からチャウドゥック橋までの区間に約4兆7,700億VND、サイゴン川からタウカイ運河までの区間とフーファン橋、タウカイ橋の整備に約7兆500億VNDを投じる。
環状4号線は、ホーチミン市周辺の高速道路や主要幹線道路を相互に接続し、地域間物流を支える重要なインフラとなる。
これらの整備が進めば、市内中心部を経由せずに周辺地域を結ぶ交通ネットワークが形成され、物流の効率化だけでなく、ホーチミン市周辺の新たな経済開発エリアの形成も期待される。
最大規模はトゥーティエム~ロンタイン・メトロ
今回の交通インフラ事業で最大の注目を集めているのが、トゥーティエム~ロンタイン・メトロである。
総投資額は約134兆VNDとされ、今回着工する交通事業の中で最大規模となる。事業はダイクアンミン不動産投資株式会社(Dai Quang Minh)が実施する。
全長は約47.7キロで、ホーチミン市とドンナイ省の7つの区・コミューンを通過し、18駅を設置する。内訳は地下駅2駅、高架駅16駅である。
この路線の最大の特徴は、ホーチミン市中心部と建設が進むロンタイン国際空港を直接結ぶことである。
将来的にはベンタイン~トゥーティエム地区からロンタイン空港までを結び、さらにタンソンニャット国際空港との連携も可能となる。計画では、両空港間の移動時間を約30分まで短縮することを目指している。
また、沿線では公共交通指向型開発(TOD)を進めることで、駅を中心とした新たな都市・経済開発エリアの形成も期待されている。
交通整備だけでなく社会住宅1万戸を供給
今回の大型プロジェクトの特徴は、交通インフラだけではない。
ホーチミン市は、約1万戸の社会住宅を整備する5つのプロジェクトも同時に推進する。対象となるのは、低所得者、労働者、公務員などである。
購入するだけの経済力がない層に対しては、賃貸住宅として利用できる住宅の供給も進める。
ホーチミン市では住宅価格の上昇が続く中、低所得層が都市部で住宅を確保することが課題となっている。社会住宅の供給拡大は、都市インフラの整備と並ぶ重要な政策となっている。
中心部の老朽住宅地域を再開発
特に注目されるのが、旧1区のチョーガー・ガオ地区とマーラン地区の再開発である。
これらの地域では、ホーチミン市中心部の一等地でありながら、長年にわたって老朽化した住宅が密集していた。
わずか10平方メートル程度の住宅や木造の店舗兼住宅に複数の世帯が暮らすケースもあり、インフラや住環境の改善が大きな課題となっていた。
今回の事業では、老朽住宅地域を再整備するとともに、住民が従来の地域に近い場所で生活を再建できるよう、現地での再定住を進める。
単なる不動産開発ではなく、住民の生活環境を改善しながら都市中心部の再整備を進めることが狙いである。
民間企業が土地を確保する社会住宅モデルも
バーディエム村やレタインタンキエン村で進められる社会住宅事業も注目されている。
これらは、民間企業が自ら土地を交渉して取得した上で、住宅とインフラを整備するモデルである。
ホーチミン市不動産協会(HoREA)のレ・ホアン・チャウ会長は、民間企業が自ら土地を確保する仕組みが機能すれば、社会住宅の供給を大幅に加速できる可能性があると指摘している。
環境・文化施設の整備も進む
住宅や交通に加え、環境・文化分野のインフラ整備も進められる。
代表的な事業の一つが、約7兆2,110億VNDを投じるビンズン水環境改善事業である。
また、ホーチミン市のホーチミン博物館分館では改修・都市景観整備が進められており、約690億VNDを投じる。2026年9月2日の国慶節に合わせて完成する予定である。
交通、住宅、環境、文化施設を一体的に整備することで、市民の生活環境と都市としての魅力を高める狙いである。
約95億USDの投資が都市の成長を押し上げるか
専門家は、今回の大型インフラ事業について、ホーチミン市の経済成長と都市再生を同時に促す可能性があると評価している。
特に社会住宅約1万戸の供給は、低所得者の住宅問題を緩和するだけでなく、長期間停滞してきた都市再開発を動かすきっかけにもなると期待されている。
また、国道1号線、国道13号線、環状4号線などの道路網とメトロを組み合わせることで、ホーチミン市中心部だけでなく、ドンナイ省や旧ビンズオン省など周辺地域との結びつきも強まる。
今回の約95億ドル規模の投資は、単なるインフラ整備にとどまらず、ホーチミン市の交通網、住宅事情、都市開発の構造を同時に変える大型プロジェクトとなる可能性がある。
今後、各事業が計画通り進めば、ホーチミン市は中心部への一極集中から、周辺地域を含めた広域都市圏へと都市構造を変えていくことになる。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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