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ベトナムビジネス特集Vol125|
How To 現地調達 ベトナム製造業を活用!

力を付けたベトナム企業
レベル1は安全だが難しい.

 NCネットワークベトナムは製造業のマッチング展示会「FBCものづくり商談会」を開催する一方、ベトナムでの現地調達支援も行う。対象はベトナムの日系、あるいは日本の製造業で、主に中小企業だ。

FBCハノイものづくり商談会2019(他も同様)

 FBCものづくり商談会には金属加工、樹脂成型、表面処理、材料、製造業をサポートするIT、人材、物流、工業団地などが出展しており、日本の企業と現地日系企業の割合は3:7。11月にハノイで4回目が行われる。

「日系企業から言われるのは、探しても良い企業がない、急場や新規案件で必要、時間は掛かっても良い相手を見つけたいなどです。日本の企業は最後の理由が多いですね」

 同社では10年前の進出当時、日本人とベトナム人で南北を中心に1000社以上のベトナム製造業を訪ね、現在でも工場回りを続けている。ここから要望に合わせて企業を選び、顧客と共に訪問している。

 日本の企業の目的はコストダウンが多いため、多くの人は思った以上の価格の高さに驚くという。品質については不安視する人、想像以上と感じる人など様々だが、ベトナム企業は数年前に比べて技術力、設備、5Sの徹底などで間違いなくレベルアップしているそうだ。

「ベトナム企業と取引を始めてからの課題は、商習慣の違いです。メール返信の遅さ、トラブル解決策の相違、原因の解明方法などで、弊社が間に入ることもあります」

 そして3~4年が経ち、変わらず問題が解決しない「疲れ」から取引を止めるケースも、良好な関係が継続する場合もある。理由の一つとして鈴木氏は、ベトナム企業のグループ分けを語る。

 レベル1はトップクラスで、日系の1次サプライヤーに長く納品しているような企業。技術や設備に問題はなく、納期もきちんと守る。しかし、価格は高めで、小ロットでは請けないこともある。新しく調達を始めたい企業は多品種小ロットが多いため、レベル2、レベル3のグループで探すことになるが、トラブルの発生率は高くなる。

「レベル1は安全だが難しい。狙い目はコツコツと地道に実力を付けてきた会社や、レベル1グループから独立した小さな会社です。こうした企業に技術を教えながら、長い取引を続けるのがお勧めです」

日系企業の評価に逆風
情報の開示で関係作り

 ベトナム人は独立志向が強いのでこうした企業は多く、新しい設備の導入もある。小さな仕事でも欲しがっていることが多く、同社にも売込みの連絡が来るそうだ。ただ、注意も必要だ。

「社長や工場長と会って話すこと。日本からであれば年に何度かベトナムに来て、自社の事情をきちんと説明することです」

 この背景にはベトナム企業の変化もある。NCネットワークベトナムの進出当時、多くのベトナム企業は実績に「拍が付く」と、日系企業との仕事に積極的だった。しかし現在、特にレベル1グループでは既に受注もあって、新規の日系企業と仕事をしたがらないことも多い。品質、時間、精度にうるさく、発注量も少ないというイメージができたからだ。

 例えば、ある部品の一部分は精度が高いが、必要がないと思われる部分まで全てに高い精度を要求される。あるいは、製品の表面に見える部品にキズのないものを使うのは納得できるが、裏面や内部の部品なら小さなキズは問題がないのではないか。こうした不具合での返品は、双方にとってコストと時間の無駄と考えるベトナム人もいるだろう。

「判断が遅く、責任の所在がわからないという声も聞きます。日本人の担当者と話して『よし、やろう』となっても、上司の許可がいる、決済の必要があるなどで進まないからです。最近も欧米系の企業と仕事がしたいという話があり、その理由がこれでした」

 もうひとつ、日本の企業はベトナム企業を知りたがる。技術、設備、人材、資本金、場合によっては借金の額まで広く聞くが、自社の情報はなかなか教えない。コンプライアンスの問題かもしれないが、図面と納期、あとは表面的な会社情報だけなどだ。

「ベトナム企業も同じです。これから取引が始まるような企業のことを詳しく知りたいのです。腹を割って情報を開示してはいかがでしょうか」

社長や工場長と面談
地道に探すことが近道

 依頼する仕事についてもそうだ。どのメーカーのどの製品の部品かをある程度教える。あるいはもっと踏み込んで、「今は中国に大量に委託しているが調査のために別の部品を作ってもらいたく、うまくいけば発注量を増やせるし、最終的にはベトナムに移管したい」などと背景を説明する。

 相手のモチベーションは上がるし、価格交渉に応じてくれるかもしれない。逆に小ロットの一発仕事だと感じれば、高い見積りも出したくなる。NCネットワークベトナムではそのため、部品の用途や年間計画などを、日本の企業からできるだけヒアリングしている。

 ただ、工場が大きくて設備も新しく、優良企業に思えても、期待外れの場合がある。ベトナムでは優秀な社長が仕事を増やしてきた企業が多いが、企業規模が大きくなると社長の目が届かなくなり、現場の人間がうまく進めていないこともあるという。彼らの中の優秀な人材が、上記のように独立する場合もある。

「候補の工場を見つけることはできるでしょう。その先は社長や工場長と対話して、会社もしっかりと見ること。近年の現調率はさほど変わっていないと思いますが、ベトナムの裾野産業は成長しています。地道に探せば良いパートナー企業は見つかります」