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ベトナムビジネス特集Vol125|
How To 現地調達 ベトナム製造業を活用!

ベトナム製造業の泣き所は部品や原材料の現地調達だ。現調率は他国より低く、ベトナム企業への発注ではさらに数字が下がる。しかしこの数年、技術や設備で成長している地場企業も増えてきた。日系企業が前向きに取り組む時が来ている。

専門チームがリサーチ
欠かせない定期訪問

 キョウワベトナムが進出前から意識していたのが現地調達だ。同社のベトナム事業には産業機械用部品の製造と食品機械の輸入販売があり、前者が現地調達の対象。親会社の株式会社キョウワは自動倉庫内搬送装置、食品機械、工場内の自動機といった産業機械の1次サプライヤーだが、本社への輸出品を生産しているわけではない。

「新規開拓した、主に産業機械メーカーさんに部品を納めています。9割が日系企業で、そのおよそ6割がベトナムでの納品、4割が日本への輸出です」

 部品製造は現地企業へ委託加工が約3割で、材料を現地調達しての自社製造が約7割。委託はマシニングなどでの加工で、自社工場では日本で培った溶接技術でタンクなどの製造を行う。

委託加工した製品

 進出前からベトナム企業に試験的に部品を発注し、2011年に駐在員事務所、2012年に現地法人を設立してからは、ベトナム人スタッフと共に数百社のベトナム企業を回った。

「当初は普通に発注したら絶対に失敗すると感じました。しかし今ではベトナム企業の技術、設備・機械、経営者の考え方などがしっかりと成長し、弊社でも専門チームを作りました」

 調査専門スタッフ1名と購買スタッフ2名が、Webサイト、口コミ、知人の紹介などから常に調達先をリサーチ。見つけた企業は彼らが訪問して2~3割に絞り、次に臼田氏とベトナム人スタッフが訪問する。臼田氏は必ずベトナム人の意見を聞き、自分だけで判断しないそうだ。

調達した材料の鋼鈑

 取引は小さな部品などから始める。まずチェックするのは意思の疎通で、連絡が取れない、現状を説明できないなどがあり、上司に伝えても改善がないなら継続を考慮する。経営者の人柄や事業への思いを把握するのはもちろん重要。また、現場を仕切るナンバー2がいれば彼にも注目。こうした人材が辞めると下が動かなくなることも多いので、それでも組織が機能するかをチェックするのだ。

「良い対応が3~4ヶ月続いても安心しません。少し疎遠になるとスケジュールが遅れるなども珍しくないからです。長く続くのは取引を始めた10社中1~2社でしょう」

 そのために欠かせないのが定期訪問。発注の後から週に1回、付合いの長い企業でも2週に1回は訪ねている。

日本人の+αは例外
顧客には事前に説明

委託加工では、特にベトナム企業の場合、問題が大きくなる前に課題を見つけ、最善策を打つことが大切。そのための定期訪問であり、積極的に技術指導も行う。「任せすぎない、頼りすぎない」が肝心とか。

委託企業での技術指導

「過去に多かった失敗が図面です。日本では依頼者の意図を汲んで作ってくれますが、これは世界でも特殊で、ベトナムでは100%実行してくれないと思っていいです」

 理由は日本人の求める+αが図面に描かれてないから。特にそれを感じるのが人によって判断の基準が異なる「美観」だ。そこで試作品やテストピースを作り、顧客に確認してもらってから量産に入る。また、委託先での工程のチェックや抜取り検査も行う。ベトナム企業に優秀な人材がいても、担当者が変わると品質が担保されないこともあるからだ。

 材料にも似たことが言える。例えば鋼材は表面に傷がないほど塗装が映える。ベトナムでは表面に凸凹がある材料が多いようだが、機械内部の部品であれば見えないので、そのまま納品するのが普通だ。しかし、日本人はそこにもこだわる。

「予め試作、いえ見積もりの段階でも説明しますが、それでも『ここまで汚いとは思わなかった』と言われたことがあります(笑)」

 そこで説明する。コストダウンのためにベトナムの材料を使っており、日本と同品質を用意するのは不可能。必要なら表面を磨くが、コストは上がってしまう。すると、相手は納得してくれたという。

 現在、委託加工先は10社ほど。ベトナム企業が約75%で、クオリティが必要な場合は日系や台湾系に依頼。鉄やステンレスなど材料の現調率はほぼ100%。顧客指定の特殊材料もあるので、厳密には95%ほどだ。調達先は20社以上で、顧客の用途に合わせてベトナム企業、日系企業、台湾系企業がある。

伸び続けるベトナム企業
相手を良く知ることが大切

キョウワベトナムの工場内

 ここまで苦労して現地調達を進める理由は、内需への参入だ。進出当時からの目的であり、少しずつ動き出している。ただ、競合他社が増えており、ひとつは新規進出の日系企業、もうひとつはレベルアップしたベトナム企業という。

「後者のほうが怖いです。資金力があって設備投資に積極的な企業が、知らない間にレーザー加工機を2台入れたりしていますから」

 こうした勢いは現地調達先にも伺える。進出当時は「日系」だけで誰でも会ってくれたそうだが、今では「結構です」と言われるケースも。品質に厳しく、小ロットで、価格が安いと思われているからだ。

「ただ、日系が好きなベトナム企業もあります。元技能実習生が作った、日本のモノづくりを目指しているような製造業です。大切なのは自分の目でその会社を見ることです」

 自分を押し付けずに代表者やスタッフと話して、相手を、企業を、ベトナムのモノづくりを理解する。一方では定期訪問で企業の特性を見て、問題発生前に対策を打つ。

「昔は現地調達は、『ベトナムでは簡単でない、そしてやっぱりできない』と思うことが多くありました。今でも簡単でないことは変わりませんが、『ベトナムではできる』と感じています」