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ベトナム、EV充電インフラの安全基準を整備へ 急拡大する充電市場に新ルール

ホーチミン市内の屋外充電スタンド
(C)TUOI TRE

ベトナム商工省は、電気自動車(EV)の充電器・充電ステーションに関する国家技術規則案を公表した。EV市場と充電インフラが急速に拡大する中、これまで複数の法令に分散していた安全・品質基準を統一し、充電設備の設計、設置、運用などに最低限の共通ルールを設ける狙いである。

全国で約15万口の充電ポートが普及

ベトナムでは近年、EVや電動車の普及が急速に進んでいる。国内メーカーや組立企業、輸入企業に加え、充電設備や充電サービスに参入する企業も増加している。

充電インフラも、メーカーが整備する充電ネットワーク、販売店の充電器、個人向け設備、独立系企業による公共充電ネットワーク、職場や駐車場、サービス施設などに設置する充電設備など、多様な形態で展開されている。

大規模な充電ネットワークでは、全国で約15万口の充電ポートが整備され、最大出力は360kWに達しているという。

一方、充電設備の設置場所も、屋外駐車場、地下駐車場、ショッピングセンター、サービスエリア、ガソリンスタンド、バスターミナル、倉庫、工業団地、住宅地、公共施設など多岐にわたる。

設置環境によって、電力供給、換気、排水、消防設備、車両の流入量、運用方法などの条件が異なるため、統一された最低限の基準がなければ、同じ種類の充電設備でも設置方法に大きな差が生じ、安全上のリスクにつながる可能性がある。

安全基準が複数の法律に分散

現在、ベトナムの充電ステーションに関する規定は、電力、建設、消防、計量など複数の法令に分散している。

専用の国家技術規則が存在しないため、事業者が独自基準や、適合性が十分に検証されていない海外基準に基づいて設備を導入するケースもある。

特に懸念されているのが、大容量の急速充電器をマンションの地下駐車場やショッピングセンター、集中型駐車場などに設置するケースである。

標準化された安全距離が確保されていなかったり、リチウムイオン電池の事故を想定した放熱設備や専用の消防対策が不足したりする可能性が指摘されている。

さらに、電力量計の計測方法や決済方式が統一されていないことも、利用者の料金負担をめぐる不透明さにつながる。

充電設備だけでなく、ソフトウエア、決済、運営、保守などにも国内外の多くの企業が参入している。技術やコネクター規格、出力、ビジネスモデルが多様化する一方、安全性と品質について共通ルールを設ける必要性が高まっている。

2027年7月から新基準施行へ

商工省は今回の技術規則によって、充電設備の設計、投資、輸入、設置、運用、検査、事後確認などについて、事業者が遵守すべき最低限の基準を明確にする考えである。

規則案の対象となるのは、公共区域、集中駐車場、サービスエリアなどに設置される充電ステーションである。

一方、住宅、マンション、ショッピングセンター、屋内駐車場などに設置される充電設備については、当面、現行の建設・消防関連規定に従う。

充電器については、国内製品の場合、流通前に規格適合を公表することを求める。輸入品については、現行規定に基づく品質検査を実施する。

充電ステーション全体については、ステーションそのものへの適合証明を一律に求めるのではなく、設計、設置、完成検査、運用条件を重点的に管理する方針である。

新たな通達は2027年7月1日からの施行が予定されている。

施行前に製造、輸入、流通していた充電器については、施行後12カ月間、引き続き流通・設置を認める。また、合法的に設置済みの充電器については、耐用年数が終了するまで使用できるとしている。

充電インフラがEV普及を左右

EVへの転換を進める各国では、充電インフラの標準化が重要な政策課題となっている。

中国ではGB/T規格が採用され、日本と共同で最大1.2MWの充電出力に対応し、リアルタイムの温度管理機能を備えた「ChaoJi」規格の開発も進められている。

韓国では、マンション地下駐車場など閉鎖空間におけるEV火災への対策として、充電設備の設置基準を強化している。

ベトナムの専門家も、充電ステーションの技術基準を整備することは不可欠だと指摘する。

一方で、EVのバッテリーや充電技術は現在も急速に進化している。早すぎる段階で細かな技術基準を固定すれば、技術革新によって規則自体が短期間で陳腐化する可能性がある。逆に、制度整備が遅れれば、大規模な充電インフラ投資を検討する企業が法的リスクを懸念することになる。

そのため、EVがすでに市場に浸透し、国内生産能力も形成され、多くの投資家が本格的なインフラ投資を検討している現在は、技術規則を整備する適切なタイミングだとの見方が示されている。

「充電できる安心感」がEV選択を後押し

ベトナムでは充電ステーションの増加により、EV利用者が抱えていた「出先で充電できないのではないか」という心理的な不安も徐々に解消されつつある。

現在では、充電ステーションを検索できるサービスや、利用しやすい立地、比較的利用しやすい料金体系なども整備されている。

充電時間も短縮されており、長距離走行に必要なバッテリー容量の70~80%を1~1.5時間程度で充電できるケースもあるという。

充電インフラの整備は単なる設備投資にとどまらず、消費者がガソリン車からEVへ乗り換える際の心理的な障壁を下げる役割も果たしている。

今後のベトナムの充電規格には、安全性、充電時間、複数車種への互換性、利用者の利便性を同時に確保することが求められる。

国際的な基準をベースとしながら、ベトナム特有の気候条件や経済事情、利用環境を考慮したルールを構築できるかが、EV普及の次の段階を左右することになりそうだ。

※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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