かつてベトナムは、「低コスト」で選ばれる拠点でした。しかし、その前提は既に崩れ始めています。経済成長とともに賃金は上昇し、多くの企業はこれまでの延長線上にない転換が突きつけられています。キーワードは「低コストから高付加価値へ」です。
この変化は、商品市場だけの話ではありません。労働市場も「働きやすさ」だけで人が集まる時代から、「働きがい」がなければ選ばれない時代への移行が始まっています。
在留日系企業が抱える構造的な制約と現地マネジャーの課題
一方で、日系企業には構造的な制約があります。駐在員はおよそ3年で交代し、そのたびに経営の方針がリセットされる。結果として施策は積み上がらず、現地マネジャーは経営の意向に従うことに慣れ、主体的に組織を動かす力が育ちにくい。こうした構造は、多くの企業に共通する課題です。
だからこそ、今、問われているのは、戦略を実行しきる「組織風土」づくりです。
給与や福利厚生では解決できない「組織風土」の本質
戦略を変えても現場の動きが変わらない、指示を出しても自発的な行動が生まれない、部門を超えて協力できない……これらはすべて、組織風土の問題です。
にもかかわらず、多くの企業は解決策として給与や福利厚生に目を向けます。しかし、それは本質的な解決にはなりません。短期的な満足は生み出せても、会社への当事者意識までは生み出せないからです。経営体制が変わったとしても永続的に企業を動かす力、それは「組織風土」です。
本連載では、組織変革を阻む「誤解」に切り込みます。次回は、「給与を上げれば人は動く」を掘り下げます。
著者紹介:谷原 拓也 Takuya Tanihara
LINK AND MOTIVATION VIETNAM代表取締役社長。大手からベンチャー企業まで様々な業界で理念浸透、人事制度導入、マネジメント育成、新卒採用と幅広く組織人事コンサルティングを実施。2022年よりベトナム事業を展開、2025年1月に現法立上げ。
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