ベトナムのトー・ラム国家主席、インドで政策演説
インド公式訪問中のベトナムのトー・ラム国家主席は5月6日(現地時間)、インド世界問題評議会(ICWA)で政策演説を行い、ベトナムとインドは「ビジョンを共有し、戦略を一致させ、実質的協力を推進する関係」であると強調した。
演説のテーマは、「新時代におけるベトナム・インドの高度化した包括的な戦略的パートナーシップ――共有されたビジョン、戦略的一致、実質的協力」であった。
歴史と独立闘争が結ぶ両国関係
トー・ラム国家主席は、両国関係の基盤として数千年にわたる歴史・文化的交流を挙げた。地理的には隣接していないものの、海上交易を通じてインドの宗教、思想、文明が古くからベトナム社会に浸透してきたと説明した。
また、民族独立と国家建設をめぐる歴史が両国の深い連帯感を生み出したとし、ホー・チ・ミン主席とマハトマ・ガンジーやインド初代首相ジャワハルラール・ネルーとの関係にも言及した。
さらに、ベトナム戦争期を含む困難な時代におけるインド政府や国民の支援について、「ベトナムはその支援を常に重く受け止め、記憶している」と述べた。
「独立・自立」の価値観を共有
トー・ラム国家主席は、ベトナムとインドはいずれも植民地経済から出発し、自立した国家経済を築いてきたという共通点を持つと指摘した。
外交面でも、独立・自立・平和重視という価値観を共有しているとし、インドの「世界は一つの家族」という理念に共感を示した。
また、インドの「アクト・イースト政策」やインド太平洋構想、多国間枠組みにおける役割を高く評価した。
半導体・AIを新たな協力の柱に
演説では、科学技術分野が今後の二国間関係の中核になるとの考えも示された。
トー・ラム国家主席は、両国が半導体、人工知能(AI)、デジタル転換などの戦略分野で協力を加速させる必要があると強調。特にベトナムは、インドとの科学技術協力を重視していると述べた。
また、インド製薬企業によるベトナム進出を歓迎するとし、東南アジア市場向け医薬品生産拠点としての連携拡大にも期待を示した。
防衛・人的交流でも関係深化
両国関係について、1972年の外交関係樹立、2007年の戦略的パートナーシップ、2016年の包括的な戦略的パートナーシップへの格上げを経て、現在に至るまで継続的に深化してきたと説明した。
防衛・安全保障協力については、信用供与や技術移転を含む重要な戦略的柱と位置付けた。
教育、観光、人的交流も拡大しており、現在は週約80便の直行便が両国を結んでいるという。
「新時代」に向け関係をさらに高度化
トー・ラム主席は、国際社会が大きく変動する中、ベトナムとインドは「平和、安全保障、発展における自然なパートナー」になっていると強調した。
そのうえで、両国は戦略的信頼をさらに深め、多国間枠組みでの連携を強化し、地域の安定と繁栄に貢献していく必要があると述べた。
最後に、「高度化した包括的な戦略的パートナーシップ」という新たな枠組みの下、両国関係はさらに力強く、実質的に発展していくとの期待を示した。




















