ベトナムの輸出入が大きく拡大している。ベトナム税関当局によると、2026年9月15日までの累計貿易総額は8250億USDを突破し、前年同期比29.4%増となった。
一方、輸入が輸出を上回る「貿易赤字」は再び拡大しており、9月前半の15日間だけで28億2000万USD余り増加した。貿易規模そのものは力強く拡大する一方、その内訳を見ると、ベトナム経済が抱える課題も浮かび上がっている。
9月前半だけで貿易額550億USD
ベトナム税関当局によると、9月1日から15日までの15日間で、ベトナムの輸出入額は約550億USDに達した。
これにより、年初から9月15日までの累計貿易総額は8250億USDを超えた。前年同期と比べた伸び率は29.4%であり、ベトナムの貿易活動が非常に高い水準で推移していることが分かる。
ベトナム財務省統計局によると、輸出の拡大を牽引しているのは加工・製造業であり、特に電子製品、機械・設備などが大きな役割を果たしている。
この傾向は、ベトナムがグローバルなサプライチェーンに組み込まれながら、製造業の生産規模を拡大していることを示すものでもある。
現在のペースが維持されれば、2026年のベトナムの貿易総額は1兆2000億USDに達する可能性もある。
電子製品は輸出1,110億USD、輸入1,750億USD
輸出入の中で存在感が大きいのが、コンピューター、電子製品・部品である。
9月前半の15日間だけでも、輸出額は96億USD、輸入額は131億USDに達した。
年初から9月15日までの累計では、輸出が1,110億USDに達する一方、輸入は約1750億USDとなっている。
また、機械・設備・工具・部品についても、輸出が約507億USD、輸入が約510億USDとなっており、輸入と輸出の双方で大きな規模を占めている。
つまり、現在のベトナムでは輸出が増えているだけではなく、輸出製品を生産するための電子部品や機械、原材料などの輸入も同時に拡大している。
貿易赤字は9月前半だけで28億USD増加
貿易額が拡大する一方で、貿易赤字の拡大は注目されるところである。
2026年7月末時点の貿易赤字額は205億2000万USD、8月末では204億6000万USDだった。8月単月では、輸出548億ドルに対して輸入549億ドルとなり、輸出入はほぼ均衡していた。
しかし、9月前半になると状況が変化した。
同期間の輸出額は260億USD余りだったのに対し、輸入額は288億4000万USDに達し、わずか15日間で28億2000万USD余りの貿易赤字が発生した。
輸入品では、石油製品が約90億USD、原油が66億USD、石炭が67億USD、鉄鋼製品が82億USD、各種繊維が約110億USDに達するなど、主要な生産関連品目の輸入も大きく増えている。
貿易赤字=必ずしも悪材料ではない
では、この貿易赤字をどのように見るべきなのか。
ホーチミン市経済大学のビジネス研究所、ボー・スアン・ヴィン所長は、輸入超過の規模が大きくなればGDPを押し下げ、ベトナムが目標としている高成長にも影響する可能性があると指摘する。
ただし、輸入品の中心が何なのかを見る必要がある。
現在のベトナムでは、輸入の主要部分を機械・設備や生産用の原材料、部品などが占めている。これらが国内消費ではなく、国内での生産や輸出向け製品の製造に使われるのであれば、輸入の増加は必ずしもネガティブな材料とはいえない。
むしろ、輸出拡大に伴って生産能力を高めるための輸入が増えている側面もある。
ヴィン氏は、これまでの輸入超過についても、年末の需要期に向けた生産を支えるための在庫・生産準備という側面があると分析している。
一方、国内企業の競争力には課題
問題は、貿易総額が急拡大している一方で、ベトナム国内企業がその成長を十分に取り込めているとは限らない点である。
特に、農林水産品、繊維・衣料、履物、木材など、国内企業が比較的強みを持つ分野では、輸出価格の低下や海外市場の需要低迷が重しとなっている。
水産物輸出では、8月の輸出額が11億USDとなり、前年同月比6.4%増となったものの、年初から8カ月間の伸び率11.9%と比べると増加ペースは大きく鈍化した。
主要市場である米国向けは3.8%減の1億8200万USD。エビは12.6%減、パンガシウスは49.3%減となった。
EU向けも8月は前年同月比6.2%減となったほか、重要市場である中国向けも増加ペースが鈍化している。
水産業だけでなく、繊維・衣料、履物、木材などでも米国やEU、日本市場の需要回復が十分ではなく、輸出企業にとって厳しい環境が続いている。
ベトナム経済の課題は「輸入超過」だけではない
ヴィン氏がより重要な問題として挙げるのは、貿易規模そのものではなく、その拡大を国内企業が十分に活用できていないことである。
国内企業にとっては、資金調達コストの高さや金融市場へのアクセスの難しさが負担となっている。さらに、事業活動に伴う各種コストも経営を圧迫している。
その結果、事業を縮小したり、活動を最低限に抑えたり、市場から撤退する企業も出ているという。
国内企業の輸出競争力が伸び悩めば、輸出の伸びが抑えられ、結果として輸入超過の拡大にもつながる。
また、原油価格や物流コストの上昇も輸入額を押し上げる要因となっている。
重要なのは「何を輸入しているか」
ベトナムの貿易総額は、2026年9月半ばの時点ですでに8250億USDを超えた。
一見すると貿易赤字の拡大は懸念材料に見えるが、現在の輸入増加には、電子部品、機械、設備、原材料など、国内の生産活動と輸出を支える品目が多く含まれている。
そのため、輸入額だけを見てベトナムの貿易構造を判断することはできない。
むしろ今後の焦点となるのは、拡大する貿易をいかに国内企業の成長につなげるかである。
ベトナム経済が高い成長率を維持するためには、海外企業による輸出拡大だけでなく、国内企業の生産力や輸出競争力をどこまで引き上げられるかが重要になる。
貿易総額が1兆USD規模へ近づく中、ベトナム経済は「輸出が増えているか」だけでなく、「その成長が国内企業にどこまで波及しているのか」という次の段階に入っている。
※本記事は、各ニュースソースを参考に独自に編集・作成しています。
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