前回、企業と従業員が「長期的な関係性」を築く重要性を解説しました。ですが、従業員との関係が良好な企業や、独自の組織文化を持つ企業の事例をそのまま導入しても、変革は進みません。
例えば、ある企業で営業ノウハウの共有会を開催して成果が上がったと聞き、自社でも取り入れるケース。従業員同士の関係性が良い職場ではこうした施策も進みますが、そもそも関係性が悪いと「周囲にノウハウを共有したくない」という気持ちになり成功の壁となります。
だからこそ、同じ課題への対応だとしても、まずは組織の状態を正しく把握することが重要です。これは、身体に不調が生じた時にレントゲンを撮り、症状に応じて治療するのと同様です。レントゲンのように組織状態を可視化する際に役立つのが、従業員と企業の関係性を示す「エンゲージメント」です。
ある製造業では、生産性向上に向けた現場発のアイデアを創出するための施策として、改善コンテストを推進していました。しかし、サーベイの結果、職場の一体感の不足が発覚し、休憩時間にも従業員同士のコミュニケーションが希薄であると判明しました。
そこで、カフェスペースを設置し、マネジャーが中心となって交流を促しました。すると日々の会話からメンバー間の人と人のつながりが生まれ、停滞していたアイデアの共有や社内展開が加速し、生産性向上につながったのです。
組織変革には、同社のように状態を正しく把握し、施策を進めることが必要です。
次回は、「正しい施策が変革の成否を決める」という誤解について解説します。
著者紹介
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谷原 拓也 Takuya Tanihara
LINK AND MOTIVATION VIETNAM代表取締役社長。大手からベンチャー企業まで様々な業界で理念浸透、人事制度導入、マネジメント育成、新卒採用と幅広く組織人事コンサルティングを実施。2022年よりベトナム事業を展開、2025年1月に現法立上げ。